宙っちの見たもの

鷺草

朝に目を覚まさせたのは、ピカピカ光り空気を震わし鳴り響く雷と、それに重なる宙っちの不安げな鳴き声。
何をそんなに鳴いているのかと宙っちを見れば、毛を逆立てて背を丸め、頭を低くしてCDラックに向かって「ムヮオン、ムヮオン」。CDラックには何も居ない…
「宙っち」と声をかけると、目で追うように廊下へと視線を移す。宙っちに見えている物が移動した、のか…
宙っちの傍に座り頭を撫でてやる。

その後はウロウロしながら「ムヮオン、ムヮオン」と鳴きどおしの宙っち。傍に行って撫でると鳴くのを止めてゴロゴロとノドを鳴らす。ちょっと落ち着くとまたウロウロし、ようやく段ボール箱の中に入って黙った。
やっと落ち着いたと思い傍を離れたら、「ムヮオン、ムヮオン」と鳴いて出てくる。また傍に行って撫でる…繰りかえし。

少しして宙っちの朝ごはんの時間に。準備を始めると催促しにやって来て、いくらか食べたら鳴かなくなりいつもの宙っちに。食べたら怖さも吹っ飛んだと?

雷は9時ごろだったかには聞こえなくなり、ザーザー降っていた雨もいつ止んだのか15時ごろには日差しが戻りすっかり天気になった。