何処で眠るのか

寒い朝。今日は居るかなと窓を開けていつもの温水器の上を見てみる。クロちゃんは居なかった。
まだ日の昇らない暗い中に、部屋の明かりで吐く息が白く浮き立つ。凍結に注意してと昨日の天気予報で言っていたほど寒い夜は、いったい何処で眠るのだろうか。

ここ数日よりもちょっと遅くなった帰り道。クロちゃん家の前が近くなっても、ミケにゃんと仔猫達が飛び出してこない。
前を行過ぎても姿を現さなかった。寒いので家に入れてもらっているのか。
そう思いながらクロちゃんの待つ場所へ。なんとなく聞こえる程度の声で猫が鳴いた。次に眠たげに伸びをしてクロちゃんが姿を現し、「にゃぁつ、あっ、あっ」といつものように鳴きはじめる。
撫でている場所へと小走りに移動しながら嬉しそうで、ちょっと興奮してるみたいなクロちゃん。

せっせと撫でる。
もしかして膝の上に乗らないかなと思い、何度か手でかるくとんとんと叩いてクロちゃんの注意を引いてみるのだが、見るけど乗らない。
乗っても、あまり経たないうちに降ろされるとわかっているからだろう。こっちの勝手なので仕方が無いとあきらめて、撫でなで。今日もヨダレが口の両側に光って見えた。

帰りが遅かったこともあり、あまり長くその場にいられなくて別れの時刻に。服を何枚も着込んでいるのに、クロちゃんを撫でている間に体が冷た。
こんな寒い夜に置いて帰るのがと、いつもの切ない気持ちになりながらその場を去った。