どうにも気の弱い

仔猫達がおじさんから食べ物を貰っている傍を通ると、ミケにゃんが駆け寄ってきた。
どうも、仔猫達は食べ物をくれる人なら誰でもいいけど、ミケにゃんは警戒心が強くてなかなか人に慣れないので、おじさんからは食べ物を貰わなかったようだ。
それで慣れている私から食べ物をもらおうと期待をして駆け寄ったらしい。が、おじさんと並んでキャットフードを貢ぐ気にはなれないので、無視して歩き去った。ミケニャんは察したらしく、こちらへ来るのを止めて見送っている。ちょっと気がとがめるけど仕方ない。

待っていてくれるクロちゃんにキャットフードを差し出し、食べ終わってから撫で撫で。
ミケにゃんと仔猫にあげる分も入っているので、全部は食べさせないように途中で容器を奪おうと思っていたら、自分から食べるのを止めた。「ゲプッ、ゲップ」なんて言っているので、お腹いっぱい食べて満足したらしい。
撫で撫でしている時にお腹を触ってみると、キュウキュウに詰まってる感じが伝わってくる。1匹で寒い思いをして眠るんだから、腹いっぱい食べて寒さをしのげるほどのエネルギーになればいのだが。

そろそろ帰ろうと立ち上がり家の方へと数歩足を進めたのだが、私と別れた後に寒い中1匹だけになるクロちゃんが心配になり、ついてくるかもしれないとクロちゃん家の方へ歩いてみる。いつも私の行く先へついて来るので、後ろを振り向くことなくクロちゃん家の前へ。

おじさんは既に居なくなっていて、クロちゃん家の近くまで行くとミケにゃんと仔猫、茶トラと黒ちびの2匹が駆け寄って来た。食べものをくれと鳴くミケにゃんと2匹の仔猫達の傍にクロちゃんもやって来たので、4匹の前に残っているキャットフードを出してやる。すると、仲良く4匹で食べはじめた。
別に仲が悪いというわけでもないんだよなーと思いながら見ていると、キジトラがあわてたように走ってやって来た。パクパク食べている4匹の傍をウロウロ。自分も食べようとするのだが入り込む余地が無い...と思ったら、クロちゃんの食べているのを横取りした。
どうにも気の弱いクロちゃんである。

すぐにキャットフードは無くなったので、家に帰ろうと歩き出した。するとクロちゃんもついて来る。仔猫達もついて来る。
いつも撫でている場所へと走って行くクロちゃんに、「またね、バイバイ」と声をかけると動きが止まった。寂しい。けど「バイバイ」。