家へ連れて

朝のこと、ミケにゃんのお腹に頭を突っ込んでいる仔猫達が。傍には野良猫がミケにゃん達の餌を食べていた。強気そうなミケにゃんだったが、やはり大きなオス猫には歯が立たないらしい。食べているのをおとなしく見守るばかり。近づくとオス猫は立ち去った。

夜。家に帰ろうとエレベータ待ちをしていると、猫の鳴き声がしたような気がした。
「クロちゃん」と呼んでみると、今度は「にゃあっ」「にゃぁ〜」「にゃあ」と大きく鳴いている。が、姿が見えない。
どこだろうかと探してみると、塀の向こうに居た。こちらを見上げて「にゃあ」「にゃああっ」と嬉しそうにしている。
「おいで、こっちにおいで」と呼ぶと、塀の切れている所から顔をひょっこりと出した。が、なじみの無い場所なので警戒していてなかなかこちらへは来ようとしない。「クロちゃん、にゃんにゃん」「おいで」としばらく声をかけていると、ようやく足元へとやってきた。

その場所でしばらく撫でなで。道端のように人や車や猫が通ったりしないので、だんだんとくつろいできたクロちゃんは、何度もお腹を上にして横になり、撫でてと要求。撫でてやるとうっとりとした顔になり、しばし撫でられまくり状態。

あまり長くはそうしていられないと、エレベータのボタンを押してドアの中へ。「にゃあ」「にゃあっ」と何度も鳴いているクロちゃんに「バイバイ」「また明日ね」と別れを告げたが、そのまま家へ連れて帰りたかったと、なんとも寂しい気分。