緊張感がみなぎる

一昨日まではクロちゃんにもミケにゃんにもいつもどおり会えて、キャットフードを貢いでいたのに、昨日はクロちゃんにもミケにゃんや仔猫達にも会えなかったので、もしかして集会に出ているのだろうかなんて思っていた。今日はクロちゃんに会えた。
雨が降っていたのに、いつもの車の下で待っていてくれたので、なんだかより嬉しい。
ちょっとだけ撫でてキャットフードを出した。カリカリカリと食べながら「うにゃん」とか鳴いているので、「はーい」「なに」と返事をしてみる。別に話しかけているとうわけではないらしいが、こちらは会話してる気分で嬉しい。

今日はミケにゃんと仔猫達にキャットフードを貢いでいないので、クロちゃんには量が多いだろうと思い、途中でキャットフードを入れている容器を取り上げようと思っていた。
食べている様子を見ていたら途中でゲップをした。(今でしょ)と思い、容器を取り上げて少しだけキャットフードを掌に乗せフタをした。
いつも、容器の底に少しだけになるとキャットフードを掌に乗せて食べさせているので、容器にフタをしてもあまり疑問に思わないらしいクロちゃんに、可愛いもんだと思いつつ、掌に乗せたキャットフードを食べ終わったとたん、「お腹いっぱいになったね」「いっぱい食べたね」と話しかけるのだった。

いつものように少し撫でていると、なんだか一点を見つめて落ち着かない様子になった。やがて低く唸り声を出し始めた。
もしかして他のオス猫でも居るのだろうかと、クロちゃんが見ている方を見てみたが、車が視界をさえぎっていて、その向こう側は見えない。
何が居るのだろうかと、立ち上がって確認しに行ってみると、茶トラのオス猫が居た。ふてぶてしい顔つきだ。近づいても逃げるでもなく、堂々としていてボス猫っぽい風格と振る舞い。距離を詰めると、ゆったりとその場を立ち去った。

茶トラのオス猫は去ったというのに、クロちゃんは緊張しまくっていて落ち着かない様子のまま。撫でることもできない状態。
いったいどうしたもんかと思っていると、いつも撫でているところから奥の暗いところへ行くのでついていってみる。
すると、落ち着かないのは変わらないが、そこだと撫でてもいいらしく、いつものように撫でなで。クロちゃんは落ち着かないけど撫でなで。

と、再び低く唸り始めた。またオス猫が来たのかと、クロちゃんが見つめる方をみてみると、向こう側にある車の下に丸い陰が見えた。あれだ!
とにかく、クロちゃんが落ち着かないので、追い払おうとその影に近づいて行ってみる。が、逃げない。その様子に、さっきの茶トラだとは思うのだが、とにかく黒く見えるばかりで確認できない。
「シッ!」と言っても、「あっちに行ってくれない」と言っても逃げるでもなく、じっと動かないでいる。車の下に居れば近づくことなどできないと知っているのだろう。急に動いたりしてビビらすと居なくなった。

再び奥の暗い所へ戻り(この間、クロちゃんは離れて見ていた)、クロちゃんを撫でなで。気になる猫が居なくなったので落ち着いたのか、いつもより長い時間お腹を撫でた。

少しすると、また低く唸り声を上げる。またか。そう思いながらクロちゃんが見つめる方に歩いていって確認したのだが、姿を見つけることはできなかった。
とにかくクロちゃんが落ち着かず、車の下に入ってしまったので、「じゃあね」「ばいばい」と声をかけて別れた。
いつもなら名残惜しそうにするのだが、見向きもされなかった。あたりにクロちゃんの緊張感がみなぎっているみたいな気がした。