甘えんぼさんだ

昨日は間違いなくクロちゃんに会えるだろう時間に帰ったのに、クロちゃんは居なかった。毎日、毎日待っていてくれているのだから、何かあったのではないかと心配だった。
それで、今日はクロちゃんが待っていてくれたことが嬉しくてしょうがない。

まずは食事をしてもらうためキャットフードを入れた容器を差し出し、「どうぞ」と置くのだが、いつものように「にゃぁ、にゃぁ」と鳴いて、尻尾の辺りをフルフルと震わせたり、擦り寄ってきたりしてなかなか食べない。
そこで、いつものようにキャットフードが入っている容器を振って「カラカラ」「カサカサ」と音をさせ、指で触って「カサカサ」という音をさせるとようやく食べ始めた。
食べている傍で、「昨日は居なかったね」「用事があった?」「居ないと寂しいよ」「心配してたよ」と、次々に話しかけてみる。
なにも聞こえてないような様子で、カリカリと音をさせてキャットフードを食べているクロちゃん。そこで口をつぐんで食べてる様子を見つめた。
容器の底に少しだけになると食べるのを止めてこちらを見たり擦り寄ってきたり、そこで掌に載せて差し出すとまた食べるのだった。甘えんぼさんだろうか。

後は撫で撫でタイム。肩から背中をマッサージするように撫でたり、揉んだりするとコテンと横になるので全身マッサージ状態。よだれも出まくる気持ち良さのようである。
別れの時になり、いつも撫でているところから立ち去ろうとしたとき、ミケにゃんと仔猫たちがこちらに駆けて来た。キジトラがクロちゃんに擦り寄ると、クロちゃんはプイッと背を向けて駆けて行き姿を消した。なんでだろ。
残されたミケにゃんは、キャットフードを持っていない私のことは放っておいて、クロちゃんがニオイ付けしている所にアゴのあたりをゴシゴシ押しつけてニオイ付けした。
その姿に、キャットフードを貢ぐ人間が生息する場所を、仔猫のためにもここをテリトリーとして主張したいという母猫としての想いなのかと思った。