それが切ない

昨日も今日もクロちゃんは車の下で帰りを待っていてくれる。クロちゃんにと買ったキャットフードと、人恋しさからだろうか。
そしてミケにゃんも待ってくれている。もちろんキャットフードをだ。
クロちゃん家の前を通りかかると駆けて出てきて、「ねぇ、食べ物ちょうだい」そんな様子で近づいて来たので、代わりに撫でさせてくれと手を伸ばしたら猫パンチで拒絶された。爪も出してるので痛い。やっぱ食べ物出さないとだめかと、手についた小さな傷を見て思う。
そんなミケにゃんだけならどうとでもあしらうのだが、一緒に仔猫も現れるので、クロちゃんに食べさせようと持っているキャットフードを少し分けた。ほとんどミケにゃんに食べられてるような気がするが、まぁ、仔猫を撫でたりできるのでいいことにしている。
かなり大きくなった仔猫達はとっても活発に動き回っていて、好奇心が旺盛だ。近頃は触っても撫でてもほとんど怖がらなくなってきた。
一番慣れていたキジトラは少しまえから全然平気なのだが、最近は茶トラや黒ちびも撫でられても気にせず食べている。

ところで、寒くなってきている今日この頃。クロちゃんも外猫暮らしは大変だろうと思っていて、できれば家に連れ帰りたいとしばしば思うができない。なんだか切なくて、ミケにゃんが追い払うので家に帰れないだけで、れっきとした飼い猫なのでそうもいかないからと、自分への言い訳みたいに思って納得している。
なんとか飼い主の家に帰れるといいのにと思うが、本来、猫には親離れしなくてはいけない時期があるので、ミケにゃんからすると当然の行為だろう。今まで仲良く一緒に居たのが特別なのかもしれない。
...そう思うけど、次は仔猫達が親離れを迫られるのだろうかと心配になる。

なんて心配しながら会社へ行こうとクロちゃん家の前を通ると、クロちゃんがミケにゃんと一緒に出てきて「にゃぁ」と駆け寄ってきた。
仔猫達もダッシュで飛び出して来る。クロちゃんと遊ぼうとする茶トラや、キャットフードを期待している様子のミケにゃん。その、なんとも仲良さそうな様子に、もしかして家に帰れるようになったのか? とちょっと安心した。