祝島へ

祝島の練塀

先週の土曜日に、祝島へ練塀を撮影しに行こうという話しになり、夜は11時に就寝した。
先々週もそういう話をしていたが、起きるのが遅すぎて行けなかったので、今度こそはと気合が入っていた。
それでなのか、まだ暗い2時半ごろから旦那が目を覚まし、3時前には起きて準備を開始した。予定では、6時半頃に出発して10時の船に乗ろうというものだったはずなのに…
室津から6時に出る船に乗るために、3時半までには家を出ないといけないということで、あわてて宙(そら)の朝ご飯と、晩ご飯を自動給餌器にセットし、身支度を整えて荷物をつかんで家を出た。
車で2時間ちょっと。5時45分頃に港に到着し、定刻どおりに出港した船に乗り、月明かりが照らす海へと目を凝らしながら、朝ごはんのパンを食べた。

30分弱で祝島の港に到着すると、船を待っている人が列を作っていた。あたりがうっすらと見える程度で様子がよくわからなかったが、日の出を撮影するため東側へ行くことにした。
同じ船に乗り合わせた釣り人の何人かも同じ方向へと進んで行く。少し歩くと小さな漁船がつないである小さな港へ着いた。
じわじわと明るくなる空と海が見える岸壁で撮影を開始し、すっかり明るくなったところで撮影を終わってまたパンを食べてお腹を満たした。
食べ終わってあたりを見ると、岸につけた漁船の上で網から小さな魚を取り除いている人と、その魚をもらおうと3匹の猫がじっと見ている姿が。他にも2匹、遠巻きに様子を伺っている猫がいた。

練塀や石垣の残る町並みを撮影しながら歩いていると、人と出会うようになりはじめた。
すれ違う人がみな、見知らぬ私たちに挨拶をしてくれるので、「おはようございます」と頭を下げていると、2人してカメラを持っているので「取材できたのか」と聞かれたりもした。

古い感じの小さな町を適当に歩き、井戸とまばらにある石垣を撮影した後で、行者堂という所へ行こうと歩いていると、道の角に立っていたおじいさんがこちらを見つめていたので挨拶をした。
すると色々と話しかけてきて、写真を見せたいので家に来ないかと誘われた。「家へ」と何度も言われ、おじいさんの家へと行くことにした。
初めて会う人から家に来いと言われ、そして家に上がりこんでるなんて面白いなあと思いつつ、古い写真とともに語られる島の自慢や古い歴史を聞いてしばし過ごした。
おじいさんの話は尽きることがないのだが、いつまでも聞いていられるだけの時間もないのでお別れを告げると、自分が作っているという「コッコー漬」という物を、お土産に持たせてくれた。
が、その後も植木を見せてくれたり、味噌を作っていたという自作の家を見せてくれたり。しばし話は続いた。
ちなみに、コッコーとは小さいキウイみたいな果物で、不老長寿の実なのだそう。
見知らぬ私たちに気軽に挨拶をしてくれたり、初めて会った人間を家に上げ、嬉しそうに話すおおらかさが素敵だなあと思った。そしてとてもいい思い出になった。

おじいさんから行者堂へは行かなくてもいいと何度も言われたので、再び町を歩くことにした。ぶらぶらしていると、石垣の続いている場所をおばさんが教えてくれた。
少しするとお昼になった。この頃になると、疲れてすっかりヘロヘロになっていたため、12時30分の船で室津に戻った。
車に乗り家路についたが、あんまり疲れていたので途中で仮眠を取ることに。旦那は1時間半ほど寝っぱなし、私も40分くらいは寝ていただろうか。疲れたので夜もぐっすりと眠れた。
で、肝心の写真はそれなりだった。

そういえば、祝島に行こうと室津の港に向かって車を走らせていた朝の5時20分前後くらいだったか。まだ真っ暗な空に、赤い光が緑の光りの尾を引いて右から左へと流れ落ちたのを見た。とても強い光ではっきりと見えたので驚いた。(ふたご座流星群かな)。
そして、祝島で夜明けの写真を撮影しているとき、薄明るくなった空に銀色の光が瞬いていることに気づいて見ていたら、ヒュンと左下へ動いたかと思うとパッと消えた。流星にしては動きが変だったが、もしかしてあれは…