声を掛けられた

会社へ行こうと家を出たところで、後ろからクロちゃんに「にゃあっ」と声を掛けられた。
今朝は温水器の上に姿を見なかったので、どうしているかと思っていただけに、寒い夜を無事に過ごして元気そうにしている姿を見ると嬉しい。
さて、声を掛けてきたクロちゃんはいつも撫でている場所へ行きかけた。が、私が「行けないよ、バイバイ」と言うと、踏み出した足を戻して今度はこちらに向かって歩いてくる。
朝ご飯を食べに家へ戻る途中だったみたいだ。クロちゃん家の方を見たのだが、時間的に遅いのでもう食べ物は無いだろうと思い、昨日クロちゃんが食べ残したキャットフードを一つまみほど置き、食べ始めるのを確認して「ばいばい」と別れた。
何度も振り返り、道端でキャットフードを食べているクロちゃんの姿を確認していたのだが、ちょっぴりしか置いてやらなかったこともあり、少しすると姿を消した。

夜。ミケにゃんと仔猫達には会えなかった。やっぱりちょっと遅くなると会えない。
クロちゃんはいつものように待っていてくれた。寒いだろうに、いったどれほどの時間を待っていてくれているのか。なんだかしみじみ感動する毎日。
いつものようにキャットフードを差し出し、食べ終わるのを待つ。ミケにゃんと仔猫達の分も入れているので、途中で食べるのを止めさせようと思ったのだが、自分からお腹がいっぱいになったところで止めた。
途中で、真ん中がへこんで食べづらそうなので容器を持って揺する。ふと、お腹がすいてがっついてる猫だったら、食べてる容器を持ち上げようものなら、容器を手で押さえたり、持ち上た手を引っ掻いたりするんじゃないかと思い、こういうところが飼い猫なんだなーと思う。

食べ終わり満足そうにしているクロちゃんは、撫でてねモードとなり何度も擦り寄ってくる。ご要望にお答えして撫でていたのだが、ちょっと強引に抱き上げて膝に乗せてみた。
「クロちゃん」「にゃんにゃん」と声をかけながら頬の近くや、肩の辺りをくりくりと撫でてみる。少し嫌そうにしたのは最初だけで、しばし気持ちよさそうに目をうっすらととじたりしていた。
が、背にしている道路側が気になるらしく振り返った後、グイグイッと身じろぎして降りたそうにしたので抱いていた手を緩めて降ろした。
その後も少し撫でたりしていたが、ずっとはいられないと自分に言い聞かせて「バイバイ」と別れた。