本命登場

リンリンリンリン。軽快な鈴の音が背中の方から聞こえてきた。
振り返るとクロちゃんが家に戻ってきたところだった。呼んでみる。
「クロちゃん、にゃんにゃん」
「にゃ〜〜ぁん」と応えてこちらへ近づいてきてくれたので、さっそく撫でなで。
茶トラ2匹が近くに居ることに気づき様子を見ていたが、すぐに「にゃあぁ」と鳴いてあっちへ行こうと誘ってきた。
「はいはーい」と立ち上がり、クロちゃんの後をついて歩く。やがていつもじっくりと撫でている場所へやってきた。じっくりと撫でなで。

時折、しゃがみ込んで低くしている顔に顔を寄せてきて、鼻と鼻がつんと当たってクロちゃんの鼻が湿っていることがわかったり、髪の毛の臭いを嗅いでみたり。
どういうわけなのか、頭に手を持ってきてちょっと爪を出して頭を下げてという動作をするので、そのようにしてやると髪の毛をちょっと噛んだりする。その行動にはどんな意味があるんだろうかと思った。
20分くらい過ぎただろうか、たーんと撫でたし、いつまでもそうしていられないので「バイバイ」と別れた。お互いに心残りといった感じ。